暗号資産で利益が出たら、次に気になるのが「税金」ですよね。
「いくら利益が出たら税金を払うの?」
「計算方法が難しそう……」
このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、基本的なルールを知っておけば、必要以上に心配する必要はありません。
また、暗号資産の税制は2028年から株式などと同様の「申告分離課税」へ変更される予定です。
ただし、海外取引所やDEX(分散型取引所)の取り扱いなど、詳細が決まっていない部分もあります。
本記事では、現行制度を中心に、初心者が知っておきたい暗号資産の税金の基本と、予定されている税制改正についてわかりやすく解説します。
※本記事は2026年8月6日時点の税制・制度に基づいて執筆しています。今後の法改正などにより内容が変更される場合があります。
【基本のき】暗号資産の利益は「雑所得」
まず、一番大切なルールから説明します。
2026年8月現在、日本では暗号資産で得た利益は「雑所得(ざつしょとく)」として扱われます。
そのため、株式などとは異なり、給与所得(お給料)など他の所得と合算して税金を計算する「総合課税」が適用されます。
なお、2028年からは株式などと同様の「申告分離課税」へ変更される予定です。
ただし、海外取引所やDEX(分散型取引所)の取り扱いなど、一部の詳細は執筆時点では公表されていません。
「20万円」が一つの目安
一般的な会社員(年末調整を受けている給与所得者など)の場合、一定の条件を満たしていれば、
「暗号資産の利益 − 必要経費」が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要になります。
一方で、年間の所得が20万円以下で、他に確定申告が必要な所得がない場合は、所得税の確定申告が不要となるケースがあります。
ただし、この20万円の基準は所得税のみです。
住民税には20万円以下なら申告不要という制度はないため、原則として住民税の申告が必要となります。
まずは、
「会社員など一定の条件を満たす場合、暗号資産の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になることが多い」
と覚えておくとよいでしょう。
※医療費控除やふるさと納税などのために確定申告を行う場合は、暗号資産の所得が20万円以下でも申告が必要になることがあります。
※適用条件は、給与額や他の所得の有無など、個人の状況によって異なります。
【要注意】日本円に換えていなくても税金が発生することがある!
「日本円に換えた時だけ税金がかかる」と思っていませんか?
実は、日本円に換えていなくても、利益が確定したとみなされる取引では課税対象になる場合があります。
また、暗号資産の税金は取引所ごとではなく、1年間に行ったすべての暗号資産取引を合算して計算します。
国内・海外の取引所やウォレット、DEX(分散型取引所)での取引も対象となるため、取引履歴をしっかり管理することが大切です。
さらに、暗号資産で発生した損失は、原則として翌年以降へ繰り越すことができません。 この点は、株式などの申告分離課税とは異なるため、注意しましょう。
代表的な課税対象となる取引は、次のとおりです。

1.売却した時
暗号資産を売却して利益が確定した時です。
日本円への換金だけでなく、海外取引所でUSDTやUSDCなどのステーブルコインへ売却した場合も、利益が出ていれば課税対象となります。
2.暗号資産同士を交換した時
例えば、ビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)へ交換した場合です。
暗号資産同士の交換も、一度ビットコインを売却してイーサリアムを購入したものとみなされるため、利益が出ていれば課税対象となります。
特に海外取引所やDEX(分散型取引所)では、暗号資産同士を交換する取引が多いため、注意が必要です。
3.商品やサービスの支払いに使った時
暗号資産で商品やサービスを購入した場合も、利益が発生していれば課税対象となります。
日本ではまだ利用できる店舗は多くありませんが、暗号資産で支払いができる店舗やサービスもあります。 このような支払いでも、利益が出ていれば課税対象となるため注意しましょう。
4.ステーキングやレンディングなどで報酬を受け取った時
ステーキングやレンディングといった、暗号資産を預けたり貸し出したりして報酬を受け取った場合は、原則として課税対象となります。
また、エアドロップと呼ばれる無料で暗号資産が配布される場合も、状況によっては課税対象となることがあります。
暗号資産は、「日本円に換えていないから税金はかからない」とは限りません。
また、暗号資産は価格変動が大きく、利益が出た後に相場が急落することもあります。
そのため、取引履歴や取得価格は日頃からしっかり記録しておくことが大切です。
※2028年から予定されている申告分離課税においても、どの取引が課税対象となるかは基本的に重要なポイントです。海外取引所やDEXなどの詳細な取り扱いは、今後公表される制度内容を確認しましょう。
【知っておきたい】経費の考え方
税金は「利益」に対してかかりますが、その利益から必要経費を差し引くことで、課税対象となる所得を減らせる場合があります。
暗号資産の取引に関連して支払った費用は、内容によって経費として認められることがあります。
日頃から領収書や利用明細などを保管しておくと安心です。
経費になる可能性があるもの
- 売買手数料:暗号資産の売買時にかかった手数料
- 送金手数料:暗号資産をウォレットや取引所へ送金する際にかかった手数料
- ツール利用料:損益計算ソフトや取引管理ツールの利用料
- 税理士への相談料:暗号資産の確定申告に関する相談費用
- 書籍・セミナー代:内容や利用目的によっては認められる場合があります。
なお、勘違いしやすいポイントですが、暗号資産を取引所から銀行口座へ出金する際の振込手数料は、原則として暗号資産の必要経費にはなりません。
一方で、暗号資産をウォレットや他の取引所へ送金する際のネットワーク手数料(ガス代など)は、取引内容によって必要経費として扱われる場合があります。
また、パソコン・スマートフォン・通信費などは、暗号資産取引のために使用した割合や利用状況によっては経費として認められる場合があります。
※プライベートと兼用の場合は、事業や取引に使用した割合(按分)を合理的に説明できることが重要です。
※経費として認められる範囲は、取引内容や個人の状況によって異なります。判断に迷う場合は、税務署や税理士などの専門家へ相談しましょう。
まとめ:正しい知識が「資産」を守る第一歩
今回は、暗号資産の税金について、初心者が知っておきたい基本ルールを解説しました。
- 利益は「雑所得」:2026年8月時点では、給与所得などと合算して税額を計算する総合課税が適用されます。
- 「20万円」は一つの目安:一定の条件を満たす会社員などは、暗号資産の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
- 日本円に換えなくても課税対象になる:売却や暗号資産同士の交換、ステーブルコインへの交換、商品の購入、ステーキングやレンディングによる報酬などは、原則として課税対象です。
- 経費や取引記録を残すことが大切:日頃から取引履歴や必要経費を管理しておくことで、確定申告がスムーズになります。
また、2028年からは暗号資産の税制が株式などと同様の申告分離課税へ変更される予定です。
ただし、海外取引所やDEX(分散型取引所)などの取り扱いには、執筆時点で未公表の部分もあります。
暗号資産投資は、購入するだけで終わりではありません。税金のルールも理解しておくことで、安心して資産運用を続けることができます。
今後の制度改正にも注目しながら、まずは現行制度の基本をしっかり押さえておきましょう。
【用語解説】
- 雑所得(ざつしょとく)
所得税における所得区分の一つです。給与所得や事業所得など、他の所得区分に当てはまらない所得が分類されます。暗号資産取引による利益は、原則として雑所得に分類されます。
- 総合課税(そうごうかぜい)
給与所得など他の所得と合算して税金を計算する仕組みです。所得が多くなるほど税率が高くなり、所得税率は5%~45%です。このほか、**住民税(一般的に10%)もかかります。
- 申告分離課税(しんこくぶんりかぜい)
他の所得とは合算せず、その所得だけで税額を計算する仕組みです。株式などの譲渡益で採用されており、税率は約20%です。暗号資産についても、2028年から申告分離課税へ変更される予定です。
【重要事項・免責事項】
※投資には元本割れのリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資や税務上の助言を行うものではありません。税金の取り扱いは、個人の状況や法改正などによって異なります。詳細については、税務署や税理士などの専門家へご確認ください。

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