はじめに
「暗号資産(仮想通貨)は投資するもの」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
しかし、2026年8月からコンビニのローソン高輪ゲートウェイシティ店で、円建てステーブルコインによる決済の実証実験が始まる予定です。
さらに同日、決済サービス会社のNetStars(ネットスターズ)は、USDT・USDC・JPYCに対応した店舗向け決済サービス「Stablecoin Pay(ステーブルコイン ペイ)」の提供を開始しました。
これまで「暗号資産で決済できる時代が来る」と言われてきましたが、ビットコインなどの暗号資産は価格変動が大きく、お店側にとっては売上の価値が変わってしまうリスクがありました。
そのため、日常の買い物への普及は簡単ではありませんでした。
一方で、価格が安定するよう設計されたステーブルコインは近年急速に普及が進んでいます。
店舗側も導入しやすい仕組みが整い始めたことで、「暗号資産を使った決済」が現実のものとなりつつあります。
今回の取り組みは、単なる新しい決済方法の実証実験ではありません。
私たちのお金の使い方が大きく変わる転換点になる可能性を秘めたニュースと言えるでしょう。
この記事では、今回のニュースの内容やステーブルコイン決済の仕組み、今後の展望について初心者向けに分かりやすく解説します。
ステーブルコイン決済とは?
ステーブルコイン決済とは、価格が安定するよう設計されたステーブルコインを利用して支払いを行う決済方法です。
一方、ステーブルコインは米ドルや日本円などの法定通貨と価値が連動するよう設計されているため、価格変動が比較的小さく、安心して支払いに利用しやすいのが特徴です。
多くの法定通貨連動型ステーブルコインは、米ドルや日本円の預金、短期国債などの安全性の高い資産を裏付け資産として保有することで、価値の安定を目指しています。
ただし、裏付け資産や仕組みは発行体によって異なります。
海外では送金や企業間決済などで広く利用されていますが、日本でも法整備が進み、実店舗での利用が現実になり始めています。
ローソンでステーブルコイン決済の実証実験
今回の実証実験は、ローソン・HashPort・KDDIの3社が共同で実施します。
対象店舗は東京都にある「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」です。
利用者はHashPort Wallet(ハッシュポート・ウォレット)を使って円建てステーブルコインで支払いを行い、店舗側は専用の店舗向けシステムを利用して決済を受け付けます。
大きな特徴は、お店が暗号資産ウォレットを管理したり、秘密鍵を保管したりする必要がないことです。
また、普段コンビニで使用しているPOSレジ(販売情報を管理するレジシステム)を活用できるため、大きな設備変更を行うことなくステーブルコイン決済を導入できる仕組みとなっています。
店員は普段と同じようにレジを操作するだけで決済が完了するため、暗号資産に詳しくなくても対応できます。
今回の実証では、
- POSレジとの連携
- レジ操作のしやすさ
- 決済完了までの時間
- 利用者の使いやすさ
などを検証し、今後より多くの店舗へ展開できるかを確認する予定です。
なお、今回の実証は参加企業の一部社員を対象に実施されます。
HashPortとは?
HashPort(ハッシュポート)は、日本のWeb3・ブロックチェーン関連企業です。
暗号資産やNFT、ステーブルコインなど、ブロックチェーン技術を活用したサービスの開発や企業向けソリューションを提供しています。
今回の実証実験では、利用者向けの「HashPort Wallet」と店舗向けの「HashPort Wallet for Biz」を提供し、ローソンやKDDIと連携してステーブルコイン決済の実現を目指しています。
NetStars「Stablecoin Pay」もスタート
ローソンの発表と同じ日、日本の決済サービス会社NetStars(ネットスターズ)も、新サービス「Stablecoin Pay(ステーブルコイン ペイ)」の提供を開始しました。
このサービスは、加盟店がUSDT・USDC・JPYCといった複数のステーブルコイン決済をまとめて導入できる店舗向け決済サービスです。
現在、加盟店の申し込み受付も始まっています。
対応するステーブルコインはUSDT・USDC・JPYCの3種類です。
対応ブロックチェーンはSolana(ソラナ)とPolygon(ポリゴン)で、利用できるウォレットはまずMetaMask(メタマスク)からスタートし、今後は順次拡大する予定です。
店舗側が支払う決済手数料は0.98%で、一般的なクレジットカード決済(約2~5%)と比べても比較的低い水準となっています。
さらに最大の特徴は、利用者がUSDTやUSDC、JPYCで支払っても、店舗には売上が日本円で入金されることです。
そのため、店舗は暗号資産を保有・管理したり、価格変動を気にしたりする必要がありません。
また、多くの場合は既存の決済端末をそのまま利用できるため、導入のハードルも低くなっています。
NetStarsとは?
NetStars(ネットスターズ)は、日本のキャッシュレス決済サービスを提供する企業です。
QRコード決済をまとめて利用できる「StarPay」を展開しており、多くの店舗で導入されています。
また、2026年には羽田空港や兵庫県姫路市でUSDC決済の実証実験を行っており、その実績を経て、今回一般の加盟店向けサービスとして「Stablecoin Pay」の提供を開始しました。

USDT・USDC・JPYCの違い
NetStarsの「Stablecoin Pay」では、USDT・USDC・JPYCの3種類のステーブルコインに対応しています。
世界ではUSDTやUSDCが広く利用されており、近年は新しい米ドル連動型ステーブルコインも次々と登場しています。
一方、日本でもJPYCやJPYSCなど円建てステーブルコインの普及が進んでいます。
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
USDT(テザー)
世界で最も利用されている米ドル連動型ステーブルコインです。流動性が高く、多くの暗号資産取引所で利用されています。
USDC(USD Coin)
米ドル連動型ステーブルコインです。透明性の高さや法令順守を重視していることから、企業や金融機関での採用も進んでいます。
JPYC
日本で発行されている円建てステーブルコインの一つで、国内での決済や送金など、さまざまな用途での活用が期待されています。
それぞれ利用目的は似ていますが、発行主体や利用できるサービス、対応するブロックチェーンなどに違いがあります。
補足
USDTやUSDCは一般的に「暗号資産」として扱われていますが、日本では一定の要件を満たすステーブルコインは法律上「電子決済手段」と位置付けられています。
日本でも法整備が進んでいる
今回の取り組みが実現した背景には、日本の法整備があります。
2023年には改正資金決済法が施行され、ステーブルコインは「電子決済手段」として法律上位置付けられました。
その後、USDCの国内流通やJPYCの制度整備も進み、日本でもステーブルコインを安心して利用できる環境が少しずつ整っています。
今回の実証実験や新サービスは、その法整備が実際のサービスへつながり始めた事例と言えるでしょう。
まとめ
今回のニュースは、暗号資産が「投資するもの」から「日常生活で使うもの」へ近づく大きな一歩と言えるでしょう。
ローソンの実証実験とNetStarsの「Stablecoin Pay」によって、ステーブルコイン決済がより身近になる可能性があります。
個人的には、円安のときは米ドル連動型ステーブルコイン、円高のときは円建てステーブルコインというように使い分けられる点に魅力を感じており、このような決済サービスを利用してみたいと思っています。
一方で、店舗側は暗号資産を保有・管理する必要がなくなるなど導入のハードルは大きく下がりましたが、普及には利用者側の課題も残っています。
私の印象では、日本では暗号資産やウォレットを利用している人はまだ限られており、高齢化が進む中で現金を利用する人も多く見られます。
そのため、本格的に普及するためには、ウォレットの使いやすさやセキュリティへの理解、利用者への認知拡大が重要になるでしょう。
また、個人的にはJPYCがUSDT・USDCと並んで対応通貨として採用されたことにも注目しています。
JPYCが国内でより身近な決済手段として普及していくきっかけになるかもしれません。
「ステーブルコインで、からあげクンを買う」
今はまだ実証実験ですが、数年後には全国のコンビニで当たり前の光景になっているかもしれません。暗号資産が私たちの日常生活でどのように活用されていくのか、今後も注目していきたいニュースです。
※参考記事
Cointelegraph Japan「ローソンで日本円建てステーブルコイン決済を実証実験、NetStarsは『Stablecoin Pay』を開始」
【免責事項】
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の金融商品や暗号資産への投資を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・最新性には十分配慮していますが、その内容を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任でお願いいたします。


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